中小企業でよくある人事制度 3つの類型
中小企業では人事制度・評価制度が導入されていないところも多いものです。
コンサルタントである私が実際に在籍してきた企業でいえば、以下の3つに分類されます。
- 人事制度そのものがない
- 目標管理制度そのものが目的になっている
- 人事制度が実態に合わず有名無実化している
大企業と違い、「しっかりした人事制度があり、それによって社員の評価や賞与の配分が適正に行われている」という中小企業は案外少ないものです。
評価制度も等級制度も報酬制度もない。あるいは機能していない。形だけになっている。
人事考課もない。あるいは評価はしても給料や賞与は変わらない。
となると、どういった基準でどう評価され、どうリターンがあるか従業員には分かりません。
しかし人事制度がない・機能していないことの最大の問題点は「従業員のモチベーションが上がらない、ロイヤリティが上がらない」ということよりも「評価基準がわからなければ会社の利益に貢献しようがない」ということです。
そうならないためにはまず、「人事制度がない・機能していないとはどういう状態なのか」を見ていきましょう。
人事制度そのものがない
1の「人事制度そのものがない」という企業は意外と多いものです。
評価の制度がない、基準もない。
つまりは「役職がついたら給料が上がる」「社長が決めたら給料が上がる」「ボーナスの配分は不透明」という状態が続いているということです。
小規模の会社であればこれでよいかもしれませんが、目安として30名を超えると機能しなくなってきます。
「うちには評価制度がないから給料が上がらない」と従業員が言い出すのもこの辺りからです。
ただ、率直に言えば組織が小さいうちはこれでも大きな問題にはならないケースもあります。
なぜなら組織が小さい分、目は届きやすいからです。
あいつは頑張っているから給料を上げてやろう。
この部署は成果を出しているので賞与のウェイトを上げよう。
それが言語化されないまでも適正に行われており説明もされていれば、30名ほどまでの企業であれば事足りるケースもあります。
※30名以上の企業で人事制度がない場合はぜひいちどimiコンサルタントにご相談ください。
人事制度がない・機能していない中小企業でより問題が大きいのは2 3のケースです。
目標管理制度そのものが目的になっている
一時期「目標管理制度」という制度が爆発的に流行した時期があります。
MBOと略され、定量目標と定性目標で管理されるのが特徴でした。
会社や部門の目標に沿って個人も上司と目標を設定し、クオーターごとに振り替える。
このコラムを読んでいる方の中にも、MBOをやっていた(やらされていた)方は多いのではないでしょうか。
アウトラインとしては大きな問題がない人事制度ですが、筆者が知っている限りではほぼすべての中小企業で機能しませんでした。
理由は、目標管理制度が大企業向きの人事制度だからです。
目標管理制度が中小企業で機能しなかったのは、「会社の目標や部門の目標が提示されないまま個人だけが目標を設定させられたから」にほかなりません。
あるいは「実現不可能な部門目標の下、とりあえず数字合わせの個人目標を設定した」というケースも見られました。
ただこれでは設定と同時に目標未達が分かり切っているわけで、そんな目標に真剣に取り組む従業員はいません。
構造として中小企業はオーナー社長であることが多く、「社長が忙しくて全社目標を立てられない「全社目標はかなりストレッチした数字である」という状態の中、「目標管理制度を導入したから目標を設定しなければならない」という本末転倒な状態になりがちなのです。
筆者も「とりあえず目標を設定しないといけないから、ビジネス本を毎月一冊読むとか書いておこう」と上司に言われた苦い経験があります。
しっかり人事制度を導入している中小企業から見ると呆れるでしょうが、評価制度を導入できていない中小企業の実態と言えるでしょう。
特に目標管理制度が報酬体系と結びつかず、「目標を達成できても何も変わらない」という中小企業が多かったのも事実です。

人事制度が実態に合わず有名無実化している
昔導入した人事制度はあるものの、そして残っているものの形骸化している、という中小企業も多いものです。
これも筆者が在籍していた企業の話ですが、報酬制度はあり等級制度に従って給料が決まっているものの、退職を食い止めるために、退職の申し出をしてきたAさんには調整手当を3万円つけ、残業のことで総務に苦情を言ってきたBさんにはみなし残業代をつけ、他社から引き抜きの話があったCさんには等級表をすっ飛ばして役職をつけ…としているうちに、在籍年数とも役職とも労働時間とも生産性とも関係なく
「言ったもん勝ち」
の給料体系ができ上ってしまいました。
これは200名規模で、岡山市でもそれなりに名の知られた企業の話だというのが恐ろしいところです。
この中小企業で言えば、どこかのタイミング、できれば早めのタイミングで
「実態に即して報酬制度を見直そう」
と決めればよかったのです。
ですが
「報酬制度を見直すと、全体に給料を上げないといけなくなる可能性がある」
「コストがかかるので、給料を上げなくて済む人は上げたくない」
という短期的な視点の元、結果として特に20代後半から40代前半までの即戦力層の大量離職を招くことになってしまいました。
中小企業も人事制度を見直そう
imiコンサルタントが支援しているのは主に30名~500名まで、特にメインとしては300名までの企業さまが多数です。
実態としてその規模の企業では
「必要性は分かっているが、利益に直結するわけではないので人事制度は後回し」
「評価制度を導入しようとは思うが、管理部門にその余裕と時間がない」
「報酬制度が古くなっているとは思うが、そこだけ直すわけにもいかない」
ということが多いのは理解しています。
しかしながらそういった中小企業の経営者や総務責任者・管理部門長、経営企画室や人事担当者の方は
「ネットで人事制度について検索して、そこで止まってしまう」
ことがほとんどです。
厳しいことを申し上げれば
「調べた上で、やるべきだと思ったがやらなかった」
というのは仕事ではないと筆者は思います。
営業担当が「セールスリストを作ったが、忙しいから営業に行かない」ということがあるでしょうか?
「人事制度を導入・改訂すべきだと思って調べた上で必然性は理解したがやらない」というのは「調べもの」をしているだけに過ぎません。
お金と時間をかけなくても、中小企業で使いやすく導入しやすい人事制度は取り入れることができます。
人事制度がない・機能していない。
そう思う中小企業の経営者・責任者・担当者の方は一度ご相談してみませんか?