大企業向けのハラスメント研修は
- ハラスメントとは何か
- ハラスメントを起こすとどうなるか
- ハラスメントを発生させないためにはどうすればよいか
を法律的な観点から座学で学び、ちょっとしたグループワークをして終わることがほとんどです。
しかし中小企業のセクハラ・パワハラ研修は本当にそれでいいのでしょうか?
知識があれば、セクハラ・パワハラをしないのか?
近年はeラーニングを用いたセクハラ・パワハラ研修などもあります。
ですが形式的で画一的な研修では、いざハラスメントが発生した際に
「会社として対策は行った」
という免罪符にはなっても、実際にハラスメントの抑止力になるかと言えば疑問が残ります。
「ハラスメントに関する知識が身につけばセクハラ・パワハラはしないだろう」
「何がハラスメントに該当するのか分かっていないから、セクハラ・パワハラをするのだ」
というのはつまり
「何が悪いか分かれば、人間は悪いことはしないものだ」
という非常に性善説的な発想です。
ですが果たしてそれは事実でしょうか。
残念ながら、人は知識が身についたからといって必ず正しい行動をするわけではありません。
また、現代においては多くの人が
「セクハラ・パワハラは悪いことだ」
「セクハラやパワハラをしたら訴訟や解雇の可能性がある」
ということは理解しているはずです。
つまり単に知識が身についただけでは、セクハラやパワハラは無くならないのです。
なぜ中小企業でこそハラスメント研修が必要なのか? 3つの理由
ではハラスメント研修をするのは無意味なのでしょうか?
決してそうではなく、中小企業でこそしっかりしたハラスメント研修が必要です。
その理由は3つあります。
1.中小企業ではセクハラ・パワハラが起こりやすい
そもそも中小企業は、大企業に比べてセクハラ・パワハラが生まれやすいのです。
大企業と異なり、中小企業では濃密な人間関係が生まれやすく、セクハラやパワハラが発生する可能性が高まります。
実際に、令和2年の厚生労働省発表によれば企業規模が100~299名の企業で最もセクハラ・パワハラの発生率が高くなっています。
2.ハラスメントによる金銭的なデメリットが大きい
中小企業にとってセクハラ・パワハラが発生した場合、それに伴う訴訟や行政対応、離職率の上昇、ひいては風評被害は死活問題です。
セクハラ・パワハラが発生して訴訟になった場合、基本的には企業規模によって賠償金額が減額されるわけではありません。
また、ハラスメントで退職が発生した場合、30名の企業で1名が退職するのと、1000名の企業で1名が退職するのとでは影響力が異なります。
裁判になれば会議や訴訟対応などでも工数が割かれ、少ない人数の企業ほど本業以外に占める業務の比率が高くなり、人件費がかさみます。
3.経営者や管理部門への信頼が揺らぐ
ありていに申し上げて、300名規模ていどまでの企業であれば
「あの人は飲み会で女性にセクハラまがいのことをする」
「⚪︎⚪︎課長が、部下に冗談でバカだとか死ねだとか言っているのを聞いたことがある」
「営業事務の××さんは、機嫌が悪いと電話をガチャ切りするので物を頼みにくい」
などというのは、社内で多くの人が知っているものです。
これを読んでいる方も、具体的な誰かの顔が浮かぶのではないでしょうか。
こういった事態を放置すると
「経営者も管理部門も、セクハラ・パワハラを把握しているのに対応してくれない」
という不満が溜まり、経営者・管理部門の指示も依頼も聞かない組織ができあがります。
中小企業では中小企業向けのセクハラ・パワハラ研修が必要
先に記載したとおり、中小企業こそセクハラ・パワハラ研修を行わなければいけません。
ですが画一的な研修では意味がありません。
厳しいことを申し上げるようですが、
「相手が嫌がることをするとセクハラになる」
「部下を怒鳴りつけるとパワハラになる可能性がある」
などと言ったことはわざわざ研修をしなくても分かっており、それでも無くならないのがセクハラやパワハラの厄介なところなのです。
ポイントは以下の三つです。
- 画一的な研修では、セクハラ・パワハラは無くならない
- 中小企業こそセクハラ・パワハラ研修を行い、ハラスメントの撲滅が必要
- 画一的な研修ではなく、実態に合わせたハラスメント研修をしなければ意味がない
中小企業には、中小企業の実態に合わせた
「本当にセクハラ・パワハラをなくす研修」
が必要です。
「あの人がセクハラ・パワハラをしていると分かっているが指摘できない、角が立つ」
「今さらセクハラ・パワハラを指摘しにくい。機嫌を損ねたくない」
「加害者の業績がいい、あるいは業務を抱え込んで独占しているから辞められると困る」
そんな中小企業ならではのセクハラ・パワハラの実態を、ハラスメント研修を通して改善していきませんか。